イザベラ・バード「日本奥地紀行」。
明治新政府が成立してから10年後、1878年の日本の東北地方・北海道を旅したイギリス女性の紀行文。
今からわずか130年前、日本は一部の都市を除けばまぎれもなく発展途上国だったことがわかる。山道は激しく悪路、農村は悪臭が漂い蚊や蚤が群れ、人々は裸同然、ちょっとした嵐で道は寸断される。宿に着くや村人は珍しい外人を見るために庭にたかる。北海道ではまだアイヌの集落が点在している時代。
一方で、勤勉、誠実な日本人の人柄や、子育てなどの日常生活、治安のよさ、そしてもちろんすばらしい景色などは絶賛している。
130年後、作者がこき下ろした部分は、尊敬すべき先人たちの苦労で過剰なまでに改善したものの、絶賛した部分の大半はどうなったか… 北海道にはアイヌの集落では、すでに現在の衰退の予感があったようだ。
私には馴染みのない地ばかりだが、日光〜会津若松〜新潟〜山形〜秋田 (久保田) 〜青森の東北地方、函館〜長万部〜室蘭〜苫小牧あたりの湾沿いに詳しい人はもっと楽しめるかも知れない。
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