もう20年くらい前、PCは8bitの時代に「A列車で行こう」というゲームがあった。線路や駅の建設・撤去を行なう「A列車」をあやつり、期限までに大陸横断鉄道を完成させ、大統領専用列車を通すのが目的。建設中の線路を使って貨物列車を走らせて建設資材を運ばないと効率よく建設が進まず、また旅客列車も走らせて運賃収入を得ないと鉄道会社が倒産してしまう (故祝一平氏曰く「鉄道会社なのに自転車操業」)。分岐でどちらに進むか、各駅を何時に発車するかなどを設定することにより、貨物列車も旅客列車も自動的に走るが、設定を誤ると衝突事故を起こし、賠償金などであっという間に破産してしまったりした。楽しかったのは、旅客列車の運行により、街が育っていくこと。ぽこっと音がして建物を模したちいさな四角い箱がどんどんでき、それとともの旅客収入も増えていく。「シムシティ」や「ポピュラス」に先駆ける「箱庭ゲーム」のはしりと言えよう。高校生だった私は、自宅にあったPC-9801Fでハマりまくっていた。後にほぼ同じシステムを採用した「A列車で行こう2も発売された。
数年後、16bit機が普及してきたころ、この鉄道会社の経営による街作りの部分のみを取り出してパワーアップした「A列車で行こう3」が発売された。プレイヤーの操作するA列車がなくなったせいか、「AIII (エースリー)」などという略称が使われるようになったのがこの頃だと思う。速度や定員などが異なる列車の種類が増え、複雑なダイヤグラムが組めるようになるとともに、プレイヤーが好きにオフィスビルやマンションなどを建てたりできるようになった。バブル景気を反映して、土地や株を転売して巨額の利益を得るようなこともできた。要は東急王国を作るのが目的と言える。街が育つと、駅前に大通りができたり、新幹線が通ったりというイヴェントが発生した。大学生になっていた私は、下宿にあったX68000SUPERでやはりハマりまくっていた。この進化型がAIVこと「A列車で行こう4」。その後のシリーズはA5、A6、A7と続くが、3D視点など見栄えの派手さと引き換えにそれなりのハードウェアリソースが必要となったこともあって、手を出さなかった。
なんで唐突にこんな思い出話をしたかというと、「AIV」を模した「FreeTrain」というフリーソフトウェアを見付けて、最近はじめたから。このページはあまり更新されていないが、開発は続けられていて、また列車や建物の種類が増やせるプラグインもどんどん公開されている。街作りの楽しさだけを取り出し、バランスシートなどが未実装だったり、AIIIでよくあった資材不足や既存の建物の邪魔のせいで街が育たないイライラもなかったり、会社が破産してもゲームは続けられたりという、ゲーム性すら排除した割り切りよう。ヤバい楽しさである。
コメント(2)
コメントする