島田荘司「ネジ式ザゼツキー」。ファンタジーとしか思えない文章から真実を見抜き、隠された (猟奇) 犯罪を解明する、という島田荘司のいつもの展開。御手洗潔ものではあるが、ワトスン役はいつもの石岡君ではなくハインリッヒというフリージャーナリスト。舞台も馬車道からスウェーデンのウプサラ大学に移動している。
んー、アクロバットとリアリティのバランスは難しいわけだけれど、これはちょっと。タイトルの「ネジ式」のところとか、真犯人の行動とか、えー、という感じで、それまでの展開がものすごく面白かっただけに興醒めな感じだった。童話の「S層」という部分もけっこう無茶、というか、主人公がほんとうに科学の素養を持っているのならいくらなんでもそれは、という部分が多い。むーん。
面白いのですよ。「タンジール蜜柑共和国への帰還」は童話として非常によくできてるし、この童話に示される謎の不可解さも最高だし、話の展開というかテンポ感や、ラストの泣かせ方も島田荘司ならではのもの。お勧め度を5段階表示すると4.5くらい。それだけに、オチのところにいくつも「ええっ?」があると興醒め感も強い気がする。
コメントする