「ベートーベン、肺炎治療で死期早める? 法医学者が仮説」(http://www.asahi.com/international/update/0906/TKY200709060426.html)
この記事を見て思い出したのが森雅裕の乱歩賞受賞作「モーツァルトは子守唄を歌わない」。
この本の中には、当時ワインに防腐剤兼甘味料として鉛化合物 (鉛糖 = 酢酸鉛) を添加することや、ベートーヴェンが川魚を好んでいたことなどがしっかり書かれていて、この記事でそういう背景の部分は史実なんだと分かる。この作者、こういうところの調査は徹底してる。
内容は、ベートーヴェンと弟子のチェルニーが、少年シューベルトやシレーネなるソプラノ歌手とともにモーツァルトの死の謎を解く、という話。もちろんサリエリも重要な容疑者として登場するし、コンスタンツェ未亡人や「魔笛」の台本を書いたシカネーダーといったモーツァルトの周辺の人物も登場。それら登場人物のかけあいが面白い。タイトルの「子守唄」とは、俗にいう「モーツァルトの子守唄」を指す。現在では偽作と分かっていて、真の作者はベルンハルト・フリースという医者である。ヒロインのシレーネはこのフリースの娘。ちなみにフリース夫人とモーツァルトが不倫の関係にあったという噂があったこと、フリースがモーツァルトの死の翌日に自殺したこと、その後生まれた子供がモーツァルトの子であるとの噂があったことなども史実のようだ。続編もあり、またマンガ化もされたが、長く絶版となっていた。最近復刊ドットコムで復活。
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