イザベラ・バード「朝鮮紀行―英国婦人の見た李朝末期」。タイトル通り、1890年代半ばの朝鮮 (と満州方面) を旅したイギリス人の紀行文。
西洋に対する開国から10年余り、西洋諸国が朝鮮に関して持つ知見は、日本に関するそれに比べるとずっと少なかったという背景もあり、朝鮮の文化や政治を紹介する意味合いが「日本奥地紀行」に比べて強い。さらにこの時代、東学党の乱、日清戦争、閔妃暗殺、露館播遷…と激動の時代であり、これらの事件を第3者的な立場から観察していることもあって非常に面白い本だ。英国が朝鮮と付き合っていくスタンスに対する提言にまで踏み込みかけている。
そいえば、amazon.co.jpのレビューあたりを見ると、日本マンセーぽいことが書かれているが、ことはそう単純ではない。ちゃんと読んでる人のレビューとは思えないし、ましてやこの人たちは「日本奥地紀行」なんて読んでないんだろうな。むしろ、日本の改革の進め方の下手くそさなら読みとれるが…
もっとも日本による改革の内容自体は絶賛しているし、独力での改革は無理なので外国の力で無理やりにでも改革をする必要があることも書かれていて、韓国人のよく言う「日韓併合さえなければ、独力で以下略」ということも非現実的だったのだろう (日韓併合はこの10年余り後だが)。まぁ韓国ではきっと出版されてないのかもなぁ…
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