ピエトラ・リボリ「あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実」。6ドルのTシャツの一生を辿ることで、経済のグローバル化を考察する。
アメリカの綿農家はどうして急速に覇権を握り、それを200年にも渡って維持できたのか、現代中国の「女工哀史」と産業革命期のイギリスに始まる女工哀史の変遷、グローバル化と保護貿易、日本とアフリカでの中古Tシャツ市場。これらの背景にある政治の力とその意外かつ広汎な影響力。自由貿易・市場主義 vs 保護貿易・反グローバル化、という言葉が単に表層を指すにすぎないうすっぺらなものであることがよくわかる。たとえばアメリカの国内産業保護のための輸入枠制度が、事実上中国への10億ドルにも及ぶ援助になっていると同時に、最貧国の産業の保護にもなる一方で、本来の目的には大して役に立っていないことなど、なるほどなぁ、という感じ。勉強になった。
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